事業活動をしていく上で収益増をより一層求めていくために、業務の効率化、利益率の向上は重要な要素です。それは企業規模の大小にかかわらず、また個人事業の場合でも同じであることは敢えて表現するまでもありませんし、事業活動をしていく上で業務改善をすることを課題にしていない企業・個人はほぼ存在しないでしょう。
ただし多くの場合、業務改善の具体的行動となると、企業また個人事業など組織規模、業種の相違もあり、それぞれ解決したい課題も異なることからイメージする目的も変わるため、なかなか一般化した解釈がしづらいテーマでもあります。
ですので、ここでは、そもそも業務改善とはどのようなものか、業務改善の必要性と目的について考えてみたいと思います。
業務改善とは
はじめに結論ありきのほうがイメージしやすいと思います。
業務改善とは、企業内もしくは個人事業上の資源活用のあり方を改善して、お客様により高い価値を提供することで、その対価として企業もしくは個人がより利益を高めていくことと言えます。
それは業務が、人材、知識、モノなど、企業内もしくは個人の資源をお客様に対する「価値」へ変換するものだからです。
さて、ここからが本題です。
とは言えです。
業務改善の定義がわかったとしても、では具体的に何をしたらよいか、というレベルの議論になると、途端に会話が途絶えがちになることが多いのもまた業務改善活動です。
では、業務改善とは、具体的に何をしたらよいかと言いますと、実はこのレベルの論議になってくると、企業規模、業種、法人個人の相違などからアプローチは異なってきますので、まずは業務改善の概念をもう少しブレイクダウンしてみる必要があります。
業務改善は、業務の見直しをしてお客様により高い価値を提供することですので、業務自体をいくつかのテーマに分類して考えていく必要があります。
一般的には以下のようなテーマで業務改善を考えていくと良いとされています。
1ビジネスプロセスの洗い出し(可視化)
↓
2業務改善の目的と目標の明確化(定量化)
↓
3目的と目標達成のためのタスク整理(課題化)
↓
4タスクの実行による業務改善の実施(実践化)
↓
5効果的なものを定着させていく(定着化)
↓
6PDCAサイクル化
そして、個々のテーマの詳細は以下のようになっています。
ビジネスプロセスの洗い出し(可視化)
業界改善をするには、そもそも何が問題なのかを明らかにしていく必要があります。また問題とビジネスのプロセスは絡み合っていますので、場合によっては問題が問題として顕在化していないこともあります。
ですので既存の問題の有無の確認とビジネスの現在プロセスを洗い出してみます。
この時に、図などを使用してみると論点の共有がしやすくなりますので、問題点の存在、その解消方法などのイメージがより具体的になります。
特に複数のビジネスプロセスで業務が完結している場合は、一連の関係性があるため、一つの業務で問題点が見えて、そこだけに変更を加えてみても、ビジネスプロセス全体に異なったマイナスの影響を新たに与えてしまう場合もありますので、予めビジネスプロセスの共有と可視化を行うことで相互関係の確認をすることも必要です。
業務改善の目的と目標の明確化(定量化)
可視化によって業務改善のための問題が見えてきたとします。問題は複数であることが多いため、それぞれ解決が必要ことであっても、解決アプローチはその重要度などから優先順位を決めて対応する必要があります。
そしてその際、問題の解決には現在のビジネスプロセスを変更する必要もあることが多いため、問題点の確認ができてからは、業務改善としてその問題の解決の目的や目標とするところを予め明確にする必要もあります。
木を見て森を見ずとのことわざもあります。明らかになった問題をどのように解決するすればどのような結果が得られるのかという目的や目標を具体的に数値で表現してみると、行動理由もより強い共有が出来ます。
目的と目標達成のためのタスク整理(課題化)
定量化を具体的に表現することで、業務改善の目的と目標が明確になりますので、その中から、実際に行うべきタスクの洗い出しを行ってみます。
この段階でのタスクは複数のことが浮き上がってくると思います。
それらの中から、どんなタスクをどのように実行するかによっても業務改善の結果が異なってきますので、更にタスクをより具体的に評価していく必要があります。
このタスクの評価は、業務改善の効果に直結することでもありますので、最も重要な判断です。
タスクの実行による業務改善の実施(実践化)
課題化で必要なタスクを設定できると、次にはその実践を行っていく段階に入ります。
この段階においても、複数のタスクの積み重ねから目標達成に到達していくことになりますので、各タスクごとに具体的な完了数値や期間を設定して、タスクの評価をしながら進めて行くことが大事になります。
タスク評価では、一般的にはKPI(重要業績評価指標)を使用することで実効性が高まると言われています。
効果的なものを定着させていく(定着化)
実践化によって想定した業務改善の目標が達成できた場合は、一つ一つのタスクの完了からどのような効果が実際に現れたかを評価をしていきます。タスクの実行状況によっては想定通りの効果につながらないこともあります。
それらを全体な視点も交えて評価を行い、再現性の高いものを選択して実際のビジネスプロセスに反映し定着させていきます。
PDCAサイクル化
PDCAは生産技術における品質管理などの継続的改善手法のことですが、業務改善でもこのPDCAを使ってサイクル化をし、継続的に改善を繰り返していく必要があります。
ただし、このPDCAサイクルは、時として失敗につながることがありますので、以下のポイントを意識しながら行っていくと良いとされています。
- 目標は数値で、計画は具体的に詳細に
- 計画通りに実行する
- 無理のない計画にする
- 定期的に評価・確認する
たとえ業務改善の実行が求める効果に至っても至らなかったとしても、PDCAサイクルを行っていくことでより良い改善につながります。
特に失敗の体験は貴重なものですので、マイナスと捉えず成功に向かうための素材を得られたと考えていくこともまた業務改善が成功する秘訣のひとつと思います。
まとめ
こうして、ひとつひとつの作業ベースで業務改善をみていくと、かなりの労力と時間がかかることと言えます。
ですが、どのような仕事であれ、またジャンルは違えど、スポーツであっても日々の考察と実践の積み重ねの先にこそ成功があると言えます。
業務改善もまた効果の高いと思われることの実行、評価を継続的に行っていくことがとても重要ではないかと思います。